がんとその原因
悪性腫瘍には、胃がんや肺がんのように、粘膜表面を覆う上皮細胞からできる腫瘍と、骨肉腫や筋肉腫あるいは白血病のように間質といわれる部分の細胞が悪性腫瘍になったものがあります。タバコはがんの3分の1に関係します。生涯喫煙の肺がんリスクは20パーセント近く、直接煙がふれる部位の口腔咽頭がん、咽頭がん、唾液に溶け込む発がん物質が影響を与える食道がん、胃がんのほか、吸収された発がん物質が影響する膵臓がん、肝臓がん、排泄過程で影響がでる膀胱がん、結腸がん、子宮がんなどでも、喫煙者のリスクは非喫煙者の数倍高くなっています。細菌感染やウイルス感染もがんの原因の2割にも及んでいます。胃のヘリコバクター・ピロリ感染は慢性萎縮性胃炎を介して胃がんの素地となります。ピロリ菌感染者の胃がんのリスクは非感染者の2から6倍になるという検査結果もあります。日本人のピロリ菌保菌率は非常に高く、30歳代から急増し、50歳代には7割を超えます。ウイルス性肝炎と肝がん、ヒトパピローマウイルスと子宮頸がんなどはウイルスが原因のがんです。チフス菌と胆のうがん、ビルハルツ原虫と膀胱がんなどの関係も明らかになっています。超短波の紫外線UVBは、日光角化症を経て扁平上皮がんの原因となります。日本人には紫外線の影響を受けやすい人は少ないと言われていますが、紫外線の強い地域では高齢者の増加とともに、日光角化症からの皮膚がんが増加しています。厚生労働省の死亡統計で日本人の死因のトップにがんが初めてランクされたのは、1981年のことです。現在でも死因の第1位になっています。がんで亡くなる人は中年期以後に多く、高齢になるほど死亡率が高くなります。日本人には昔から胃がんが多く、この傾向は長く続いてきましたが、食生活の変化、診断による早期発見と治療法の進歩などにより、胃がんによる死亡率は年々減少し、男性については1993年に肺がんによる死亡が胃がんを抜きました。欧米では、60年代から肺がんによる死亡が胃がんによる死亡を上回っています。肺がんの最も重要な危険因子は喫煙で、若いときからの禁煙が最大の予防となります。女性は2003年に初めて大腸がんが胃がんを上回りました。子宮がんはやや減少していますが、乳がん、卵巣がんは増加傾向にあります。欧米では、乳がんは死亡、罹患ともに女性で最も多いがんで、日本の増加傾向は食生活の欧米化、晩婚化などの理由だと考えられています。がんによる死亡率を下げるためには、定期的な検診などにより早期発見に努めるほか、喫煙、食生活など、ライフスタイルを見直すことが必要です。
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