乳がんの治療

乳がんの治療では、手術でがんを切除することが基本となります。手術に加えて、放射線療法、抗がん剤やホルモン剤を使った化学療法、免疫療法、温熱療法などが併用されるのが一般的です。日本で最も多く行なわれてきた手術は、定型的乳房切除術(ハルステッド法)と呼ばれる方法です。これは乳房、腋の下のリンパ節、胸筋などをすべて切除するものです。この方法は、再発の危険性を最小限にするために、いわばすっぱりと取ってしまうわけで、胸壁の変形が著しくなります。しかし、欧米では1970年代より否定型的乳房切除術が行なわれるようになっています。これは、縮小手術ともいわれ、乳房とリンパ節は切除しても、胸筋を残すので、胸壁の変形が少なくなります。定型的乳房切除術と再発率の差はあまりありません。また、がんのできている部分やリンパ節だけを切除して、乳房をなるべく残し、再発予防に放射線をかけるという乳房温存法もあります。手術法の決定には、がんの進行具合と患者の状態などが考慮されます。最近では状況が変わりつつありますが、日本ではまだ、定期的乳房切除の行なわれる割合が欧米よりもずっと高くなっています。乳房は女性にとって思い入れのある部位です。きちんと説明を受けて、この方法が最適とみきわめをつけ、納得したうえのことなら、どんな手術法でも比較的うけいれやすいものですが、納得しないまま手術を受けたのでは、医師への不信感が募り、手術後の治療にも差し障ります。何に重点を置くかはその患者によって違いますが、乳房温存などいくつかの手術法が選択肢としてあるなら、患者自身がきちんと選択できるような状況がなくてはなりません。基本的には、温存治療はすべての乳がん患者に行えるものではなく、また、1人の外科医や放射線医で行えるようなものでもありません。診断医、外科医、病理医、放射線医、化学療法医などの連携のうえに成立するものなので、経験豊富な医師のいる、実績のある病院を選ばなくてはなりません。

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