がんの告知
米国では医師は確実に患者に、がんの告知を行ないます。もし告知を怠ると、患者から告訴されるケースがあるからです。日本では、がんの告知は長い間、積極的に行なわれませんでした。もちろん告知された患者はすくなくありませんが、一般的ではなくごく初期のがんでも家族だけに知らされ、本人には胃がんを胃潰瘍、子宮がんを子宮筋腫などと、別の病気名を告げるなどしました、ましてや進行がんの場合は、患者の心理的精神的負担を与えないためなどの理由により告知されないケースが多くありました。実際に1988年に行なわれた調査では、日本の医師の4分の1は絶対に告知しない、約半数が治癒の可能性が高い場合のみ告知することもあると答えています。患者の家族にも、がんなら本人には知らせたくないという場合が多く、医師と患者の家族が相談して、患者本人には告知せず、治療法についても、医師と家族が決定するというようなことが一般化していました。その理由として、がんの治療成績が悪かったことに加えて、医師と患者の関係が一方的だったことがあります。医師にいろいろ質問するよりもすべてまかせるほうが好ましい、などの国民性や生死観、宗教観、患者と医師個人の人格などのさまざまな背景が考えられます。現在においては、告知を進める方向にあるといえますが、現実にはケースバイケースであるといえます。国立がんセンター病院など告知を旨とする病院以外では、医師と家族が話し合って決めることも多いようです。患者に本当のことが知りたいという希望があっても、家族が望まなければ患者に知らせないというケースも少なくはないようです。今現在は、強引に告知を進めることにも無理があり、まだ過渡期にあるといえますが、患者本人に告知するかしないか悩むのは主に家族になっています。がん告知に否定的な理由として、告知されたために失望して死期が早まった例があるとか、精神的動揺で病状の悪化した例などが上げられることがあります。一方で告知したほうが良いという理由として、まず、患者に告知しない場合は、病名、病状、治療について、患者に嘘をつくことになります。患者本人は、自分の病状を理解できず、医師の説明に疑問をもってしまうこともあります。医師、看護婦、家族の説明にくいちがいがあれば、患者の不信感は募ります。周囲も本人に知られないよう気を使います。そんな周囲の雰囲気に患者は何かを隠されていると敏感に感じるなどします。やはり、医師と患者の間に信頼関係があり、それを家族が支えるというかたちが、安らかな療養生活を送るうえで最も望ましいかたちです。
copyrght(c)2007生活習慣病と健康.all rights reserved
